人物
ユリシーズ・S・グラント
北軍テネシー方面軍司令官
生没: 1822–1885
町ではなく町が塞いでいる線を目的に置き替え、そのために自分の補給線を捨てた司令官。
ヴィックスバーグに何度も失敗した指揮官である。北から沼地を抜けようとし、運河で川筋を変えようとし、どれも通らなかった。普通ならそこで「正面からは取れない」で終わる。彼が出した結論は、町ではなく町が塞いでいる線を取りに行くというものだった。そのために自分の補給線を切り離し、守る線を消して機動の自由を買い、17日で5戦しながら内陸をまわって、町を東から塞いだ。見栄えのしない勝ち方を最後まで選べる人物である。
流儀:目的のために、前提のほうを捨てる
グラントはヴィックスバーグに何度も失敗している。北から沼地を抜けようとし、運河を掘って川筋を変えようとし、どれも通らなかった。普通ならここで「この町は正面からは取れない」という結論になる。彼が出した結論は違った。町ではなく、町が塞いでいる線を取りに行く。
そのために彼は自分の補給線を切り離した。物資が届かなくなる代わりに、守る必要のある線が消え、動く自由が手に入る。制約を外すために値段を払う——これがこの人物の判断の形である。17 日で 5 戦し、約 290 キロを歩いた13。
繰り返し現れる型
目的と手段を切り分ける
町を落とすことと、川を開くことは別の目的である。後者が目的なら、前者は手段の一つにすぎない。
制約を外すために払う
補給線を捨てれば飢えるが、守る線も消える。何を得るために何を捨てるかを言葉にできる。
失敗を数えない
前年冬からの試みはほぼすべて失敗している。失敗の回数ではなく、まだ試していない方向が残っているかで判断する。
突撃を諦める
5月の二度の総攻撃が失敗したあと、彼は掘ることに切り替えた。勝ち方に見栄えを求めない。
強みと弱点
目的から逆算して、手段を大胆に入れ替えられる。
その大胆さは、外れたときに退路が無いことと同義である。渡河後に押し戻されていれば、帰る線は無かった。
見栄えのしない勝ち方を最後まで選べる。
見栄えがしないので、同時期のより劇的な勝利に記憶を持っていかれる。
流儀が見えた場面:ヴィックスバーグ
彼が落としたのは町ではなく、線である。47 日の包囲は突撃の失敗のあとに残った、いちばん地味で確実な方法だった。スターリングラードが「相手を釘付けにする設計」なら、こちらは「相手に物が届かなくする設計」である。
マシュー・ブレイディ撮影、1870年ごろ、アメリカ議会図書館蔵。ヴィックスバーグの7年後の姿である。Public Domain, via Wikimedia Commons
登場する事例