人物
ヘンリー5世
イングランド王(英軍を直率)
生没: 1386–1422
相手の数が展開できない寸法の場所を選び、さらに相手が自分からそこへ入るよう仕向けた王。
イングランド王。アルフルール包囲で兵を失い、赤痢に削られ、カレーへの行軍で消耗しきった状態でアジンコートに至った。それでも会戦を選べたのは、両側を森に挟まれた狭い耕地という戦場の寸法を自分で選べたからである。さらに彼は待たず、前進して射程に入り、相手に先に動かせた。場所を選ぶだけでなく、相手がそこへ入ってくる理由まで作ったところがこの人物の設計である。
流儀:戦う場所の寸法を先に決める
ヘンリー5世は追い詰められていた。包囲で兵を失い、赤痢で削られ、カレーへ向かう行軍で消耗しきっていた。その状態で会戦を選べたのは、戦う場所の寸法を自分で選べたからである。両側を森に挟まれた狭い耕地に陣を敷けば、相手の数は横に広がれない。
そして彼は待たなかった。前進して射程に入り、相手に先に動かせている。場所を選ぶだけでは足りない。相手がそこへ入ってくる理由まで作って、はじめて設計になる。
繰り返し現れる型
幅を選ぶ
相手の数が展開できない寸法の場所に陣を敷く。数の優位は、広げられて初めて優位になる。
相手に先に動かせる
守勢が有利な形を作ったうえで、前進して挑発する。待つだけでは相手も待てる。
装備より配置
射手の前に杭を打ち、騎兵が到達できない形にした。武器の性能ではなく、その武器が効く配置を作る。
徹底する
再攻撃の危険を感じたとき、捕虜の殺害を命じている。勝ちを確定させるための冷酷さは、この人物の一部である。
強みと弱点
不利な状態でも、戦う場所の条件を自分で決められる。
その条件は地形と天候に依存する。同じ判断を開けた平原でやれば、数の差がそのまま出る。
戦術的勝利を政治的成果へ繋げた(1420年のトロワ条約)。
その成果は本人の寿命に依存していた。1422年に死ぬと枠組みは崩れ、最終的にフランスが勝つ。
流儀が見えた場面:アジンコート
正面はおよそ 750〜900 メートル。その幅を選んだ時点で、相手の数は「多すぎるもの」に変わっていた。
ヘンリー5世。16世紀の作、ナショナル・ポートレート・ギャラリー蔵。同時代の肖像ではなく後世の写しである。Public Domain, via Wikimedia Commons
登場する事例